彼女がウソを覚えた瞬間

  • 2013.07.05 Friday
  • 13:15


朝帰りに“ウソ”はつきものである。
ずっとずっと昔、高校生の頃に付き合っていた女の子と初めて夜を共にする際、まず始めに取り掛かったのは、彼女の親を騙すための画策であった。

これは致し方のないところだ。

今思えば、本当に純粋だった彼女をけしかけて、戸惑う彼女に受話器を持たせたのは僕だったが、それまで可愛い振る舞いを見せていた彼女が、自宅のダイヤルを回し終えた途端、突如、名女優へと変貌した。

「あ、お母さん?今友達の由紀の家で期末の勉強してるんだけど、由紀のお母さんが、良かったら泊まっていきなさい、って言ってくれて…いい?由紀のお母さんに電話変わろっか?」

おいおい!何てこと言ってるんだ!と、僕は驚いて目を白黒させていると、
「んー何か買い物行っちゃったみたい。…うん、うん、ちゃんとしてるから。うん、大丈夫、よろしく言っとく。うん、判ってるって!うん、ありがと、じゃまたねぇ」

…ガチャン!
「やったー!バッチリー!」

名演であった。
嬉しそうに笑いながら飛び付いてきた彼女を、ぎこちない手と嬉々とした気持ちで抱きながら、その一方で心の中のざわつきが静かにいつまでも消えなかったのは、彼女がウソのつき方を覚えてしまったその記念すべき第一歩に思いきり自分が加担してしまったことと、いとも簡単にウソを言ってのけた彼女に一抹の恐さを覚えたのだった。

女は恋でウソを覚えるのだー。
当時16歳の僕には実感を伴った悲壮な大発見であった。

そしてその日を境に、女の子のつくウソが、男のソレとはまた異質のものであることを次第に知ってゆくことになる。

あれから二十年以上の時を経て、僕も数えきれないほどのウソを重ねた。
ついたウソ自体忘れてしまったものもあれば、自分でも許せないウソ、というのも記憶の中にたくさんある。
殆どのウソは見栄やエゴで形成されているのだろうし、健全なウソにしても、自分や相手を守るためだけに発生する。

大人になったから、というのも加味されたのかもしれないが、僕はだいぶ昔から、目の前の相手のウソを見抜いたとしても、許せる範囲であるのなら気付いていないフリをすることにしている。

なぜなら肝心なのは、ウソをついてしまった後で、
その人間が何をするかが大事な気がするからだ。

しかし女は皆、名女優である。
ワンダフル、、、じゃないよなこれは!

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